日常生活の物理|身近で体験できる科学のブログ

日常に関すること、何でもつぶやきます。物理的な視点を加えることが多いかも。

地震発生時の津波速報について

先週末の地震は東北から関東を含めて、大きな揺れでしたね。

すぐにテレビをつけて、地震震源をみると東北沖とのことで、東日本大震災のことが頭をよぎった方も多かったのではないか、と思います。ところが、テレビをつけて数分後には「津波の心配はありません」とのメッセージがすぐに出されました。「よかった、津波の心配はないんだな」と思ったと同時に、「ん?なんで発生直後にも関わらず、自信を持って言えるんだろう?」と疑問に感じました。

それでニュース記事を調べていたのですが、判断理由は「震源が深いから」とのこと。どういうこっちゃということで、そもそも津波が発生するメカニズムを調べていると、気象庁のページに分かりやすく書かれてました。

地震による津波発生のメカニズム
気象庁|津波発生と伝播のしくみ

原理としては、
①まずは地震発生により海底が動く
②海底に動きにより、海水面が押し上げられる
③持ち上げられた海水面の高さの差により、津波が発生する
津波が海岸にまで伝播する
という流れのようです。
震源が深いと、①の海底の動きがそもそも変形しにくく、大きな津波にならないそうです。東日本大震災のときは、震源の深さが24 kmであったのに対して、今回の地震では約55 kmとのこと。そこまで震源が深いと、津波も発生しないと判断できた訳ですね。

…しかしいつもニュース速報で出てくるけれど、何で震源の深さがすぐに分かるんだろう?と思って調べてみると、世の中には海底地震計なんてものがあるようです。

自己浮上式海底地震計 東京測振
http://www.to-soku.co.jp/products/oceanbottom/pdf/tobs24n-tmc8200.pdf

水深6000 mの水圧に耐えて計測できるなんて、凄い技術ですね!地震発生直後に計測結果を出すためには、ケーブル式海底地震計なんてものもあるそうで、こちらはリアルタイムでデータ送信できるように、地震計と地上局の間をケーブルで結ばれているそうです。海底から配線してしまうとは、驚きです。

それにしても、津波が来るかどうかなんて、センサデータから予測するには計算時間がかかるんじゃないか、と思って調べてみると、気象庁のページに答えがありました。

地震発生時の津波予報データベースを用いた速報システム
気象庁|津波を予測する仕組み

事前にシミュレーションデータを蓄積しておき、その計算結果に照らし合わせることで、計算速度を大幅に早めているそうです。インプットとするセンサデータ候補(Sensor1,Sensor2,Sensor3,…)がいくつかあり、地震発生直後はこれらを使って津波シミュレーションをイチから計算するのではなく、データベースに格納された計算結果を参照するだけで、概算値を出力できるのだと思います。おそらく、最近流行りのシミュレーションとAIをコラボさせる取組みに近いものかと思います。シミュレーション計算で、AIの教師データを予め作っておくイメージですかね。

今回調べられたものも、恐らく国内の取組みの一部かと思います。
さすが日本、地震対策の技術はすばらしいです。