日常生活の物理|身近で体験できる科学のブログ

日常に関すること、何でもつぶやきます。物理的な視点を加えることが多いかも。

風の絵

身内ネタなのですが、私が人生で初めて描いた絵(3歳くらい)は、こんな感じだったらしいです↓

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・・・これはなにか、と当時の母親が尋ねたところ、笑顔で次のように答えたそうです。

 

「かぜ!」

 

と。

 

抽象画ですね。初めて画用紙とクレヨンを手にしたときに、チョイスした題材が、なぜか目に見えないものを描こうとしたようです。出来栄えに自信があったようで、沢山描いて、家の壁に貼りまくったそうです。最近、家族で集う機会があり、久々にいじられたので、ブログネタにしてみました。

 

ただの過去エピソードなのですが、ところで風の絵って何でクルッとした線を描くのでしょうね。前回に引き続き、流体の話になるのですが、こうした流れの軌跡を示す線は、流線と言います。

 

流体の流れは大きく分けて、層流と乱流と言われる2種類があります。層流とは流線が層状に規則正しく並んだ綺麗な流れのことで、乱流とはその名のとおり、乱れた複雑な流れです。絵をみると分かりやすいです↓

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                        https://www.cradle.co.jp/media/column/a293

蛇口の水の勢いが強くなると、層流から乱流になります。空気も流体ですので、空気にも層流、乱流があります↓

                     層流と乱流

       http://taisaku.birukaze.com/article/16180166.html

たばこや線香の煙は室内では綺麗な筋を作ります(= 層流)が、屋外の煙突の煙や、手持ち花火の煙など、複雑な動きになりますよね (= 乱流)。直感的にもわかると思いますが、風が強く、流れが速いほど、乱流と呼ばれる動きになります。

 

ここまで見て頂いてわかるとおり、乱流になるか否かは、流体の速さに依存するんですね。実はもう1つ依存するパラメータがあって、粘性にも依存することが知られています。こうした流体の特性から、層流になるか、乱流になるかの基準にRe(レイノルズ数)と呼ばれる物理パラメータがあり、次のような式で表せます。

 

(式) Re = 流速 / 粘性

   (= ρvl/μ:  ρは流体密度, vは代表流速, lは代表長さ, μは粘性係数)

 

明確な基準はないのですが、Reが2000程度を超える流れを乱流といいます。これまでにお見せした乱流の例では、流速が速く、上式の分子(流速)が速いために、Reが大きくなっていた、ということですね。

 

最初にお見せした風の絵でクルッとした線を描いていたのは、「空気の流れが速く、乱流であるから」ってことになります。もし↓のような絵だったとすると、層流になるので間違いです。・・・改めて考察してみると、正しい絵を描けてたってことになりますね。。

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