日常生活の物理|身近で体験できる科学のブログ

日常に関すること、何でもつぶやきます。物理的な視点を加えることが多いかも。

換気と流体力学

暑い日々が続きますね。日常物理の1記事目は何にしようかーと考えていたら、ここ最近家の中も慌ただしくて、1週間が経過しました。

 

会社帰りの電車で、そんなことをふと考えていると、車内の窓が開いていて、風がビュービュー吹いていることが目につきました。最近はコロナウイルスの影響で、換気が重要視されていて、電車も窓開け走行が増えてますよね。先日、航空機内での感染がニュースになっていましたが、基本的に航空機は換気が行き届いて、約3分で機内の空気が入れ替わるらしいです。(驚きですね) ちなみに部屋の換気頻度の目安は、1時間に5~10分と言われているそうです。実際にはこんな頻度で換気できないですけどね。

#1 機内の空気循環について | ANAグループについて |ANAグループ企業情報

#2 上手な換気の方法 | 空気とくらし | 空気で答えを出す会社 | ダイキン工業株式会社

 

換気を物理的に考えてみると、要は流体力学です。空気でも水でも血液でも、流れを計算するときには流体力学となります。ただ流体力学って非常に難しいんですよね。流体の動きは、基本的にナビエ・ストークス方程式で記述できるんですけど、これがとにかく難しい。式にするとこんな感じです↓

(wikipediaより引用)

左式の第2項が移流項と呼ばれるもので、これが計算上で厄介らしく、解が見つかっていないそうです。この方程式は、アメリカのクレイ研究所が出しているミレニアム懸賞問題(全7題)のうちの1つで、解けると100万ドルの懸賞金がもらえます。

 

とはいえ、世の中には様々な分野で流体シミュレーションが実装されていますよね。最近のゲームで描かれる水の動きなど、めちゃめちゃ綺麗で驚きです。こうしたシミュレーションはどうやって実現しているのかというと、近似式を解いています。世の中の偉い方が、k-εモデル等のシミュレーションモデルを考えてくれていて、こうしたモデルを用いることで流体計算できます。

 

私も仕事で流体シミュレーションを扱ったことがあるのですが、SSTモデルで大体解いていました。2相流と呼ばれる空気と水の界面の動きも計算するときは、レベルセット法やフェーズフィールド法等を使っています。会社で高性能なPCを用意して、液滴の動きの3次元シミュレーション等、ゴリゴリと解いていたのですが、周囲からは中々驚かれました。ほんの数年前までは、基本的に2次元で計算していたし、3次元での液滴等を計算するときには、モデルを上手く設定して計算量を減らしてあげないと、計算時間がかかり過ぎて、まともに動かせなかったとか。

 

いや~、最近のPC性能の向上は素晴らしいですね。あと4,5年くらいしたら、シミュレーションのモデル選択も一番重たいモデルだけで良くなってしまうんじゃないかと。さらにナビエ・ストークス方程式が解かれた暁には、流体シミュレーションが誰にでも扱えるものになったりして。。自宅の構造を入力すれば、換気を計算してくれるソフトとかあれば、一度使ってみたいですね。